Python♪FEM:2015年に高校数学から行列計算が消えた!

ご存じの通り(?)2015年から行列が高校数学から消えました。何考えているの!行列計算って情報処理の基本でしょ。中学生とPythonを勉強する記事を書いている私が言うのもなんですが、小中学生へのプログラムの早期教育よりも大切なのでは。

0. FEMなど数値解析シリーズ

この記事は「FEMなど数値解析シリーズ」の記事です。一連の記事は、以下のリンク集を参照してください。

Python♪FEMなど数値解析シリーズ

1.もっと、大騒ぎになってもいいのに・・・

高校数学から行列や一次変換が消えたことを初めて聞いたとき、びっくりしました。時代の流れに逆行していませんか。行列などをふくむ線形代数はコンピューターによる情報処理のためにある数学と言ってもいいはずです。ディープラーニングだって線形代数の知識を使います。行列の知識がゼロで、AIのプログラミングに挑戦するってハードル高くないですか?

高校数学から行列が消えたことは、もっと大騒になってもいいはずなのに、あまり知られていないような気がします。円周率が3.14か3なんてどうでもいい。「なぜ、行列なくしちゃったの?」「これからの日本どうなっちゃうの?」と思うのは大げさなのでしょうか。

2.なぜ、行列の知識が必要なのか

n行n列の逆行列を実際に手計算できる線形代数の知識がなくても、2行2列の逆行列の意味がわかればディープラーニングの本は読めます。本当は大したハードルではないのに、人工知能の勉強のために線形代数から勉強しなければならないと思うだけで精神的なハードルが高くなります。

現在のプログラミング環境において、例えば人工知能のプログラミングでよく使われているPythonではn行n列の逆行列の計算をたった1行で実行できます。これは時代のニーズを受けた結果だといえます。そして、行列計算が手軽に行える環境が整ってきたぶん、それを使いこなす基本的な知識が前よりも必要とされるようになってきたのだと思います。行列計算はFEMなどディープなプログラミングをする人だけに必要な知識ではないのです。

このような議論がもっとネット上でもなされるべきだと思うのですがいかがでしょうか。

3.FEMで必要な知識

さて、この記事はFEMの解説シリーズなので話をFEMにもどしますが、高校で行列計算を習っていない方で、線形代数の部分がわかりにくい場合には2行2列の行列の計算をやってみてください。まずは、「積、逆行列、単位行列、転置行列、座標の回転」ぐらいがわかればよいと思います。厚い線形代数の本から勉強するよりはわかりやすいのではないでしょうか。

本当はしっかり勉強すべきなのかもしれませんが、声を大にして言いたい!プログラム言語には便利なライブラリがたくさんあるのですから、ビビらずに少しだけ基本に目を通せば大丈夫です!まず、行列の基本に目を通しましょう。大学の線形代数の専門書から入って挫折するよりずっといいです。

書籍としては、例えば以下のようなものはどうでしょう。とにかく、自分に相性のよさそうな読みやすくて簡単なそうなものを流し読みしましょう。2015年より前の高校生の参考書を中古で買ってもいいと思います。

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4.最近のニュース

たまたま、この記事を書いていたら2017.12.17の記事として、「ソフトバンクの孫社長がAIを試験科目すべき・・・」「 韓国政府がすべての国民がAIの基礎的な知識を習得できるよう教育体系を再構築する 」というニュースがダブルで報道されていました。その通りだと思います。